2012年3月7日水曜日

佐高 信さん・メッセージ

これは別代未聞の話ですね。もし、この判決が通ったら、石原都知事は 「新銀行東京」 でつくってしまった1,000億円近い累積赤字を個人で支払わないといけませんね。
上原さんを訴えた国立の住民や市長さんは石原都知事も訴えたらどうですか。


落合恵子さん・メッセージ

理不尽なことに異議申し立てしないことが、この非情で過酷な社会を作ってきたのです。業者さん側の「寄附金」は、市が支払った賠償金をそっくり返還したものでしょう。それを一般寄附金とした判決には無理があります。声をあげましょう、風通しのいい社会を取り戻すために。

河村たかしさん・メッセージ

上原公子さんは「景観」を訴えて当選し、その公約を果たしたのにもかかわらず、市長の中立性を犯したとして辞めたあとまでも責任を追及されている。
こんな判決がそのまま通ったら、まちがいなく全国の市長たちは萎縮してしまいますよ。

2012年3月1日木曜日

第一幕・宮岡判決 この事件、覚えていますか。


 TV局のヘリコプターがブンブンとび回ったので、おぼえている人、多いと思いますが。
2002年12月28日・朝日新聞夕刊

 国立市の大学通りは「日本で一番美しい大通り」(山口 瞳さん)と評された、新 東京百景の一つに選出されている通りです。その大学通りに面した静かな住宅地に「巨大高層マンション建築計画」がもち上がったのは1999年。その年の6月頃に初めてこれを知った市民たちから地権者82%の同意書を添えて高さ制限 の要請が国立市に出されたのが1999年11月です。この要請を受けた国立市は「高さ制限に関して地区計画をつくる」旨を公表しましたが、業者側はこれを無視して翌12月に都に建築確認を申請し、確認がとれた翌2000年1月5日当日からどんどん工事を始めてしまいました。

 市も対抗して、2000年1月24日、「高さを20メートルに制限する条例」を臨時議会で成立させました。なぜ、それまでは高さ20メートル制限の条例がなかったのかといえば、駅近くの商業地域をのぞく大学通りの住宅地では、「建物は街路樹の高さを超えない高さにして美しい大学通りの景観を守る」が住民たちの不文律として存在していたからです。

 周辺住民約50名はマンション業者に高さ20メートルを超えないよう2000年3月に東京地裁に提訴しましたが、マンション業者は「建築確認申請時には高さ制限条例はなかったから合法だ」として、大学通り史上前代未聞の44メートル14階建て巨大マンションを完成さ せてしまいました。そのウリ文句が「美しい景観」というのですから、開いた口がふさがりません。

 しかし、2002年12月、東京地裁(宮岡章裁判長)は、この周辺住民50名の訴えに対して、 「特定地域で独特の街並みが形成された場合、その景観利益は法的保護に値する」として、「高さ20メートルを超える部分の撤去」を命じました。法のスキをついた卑怯な行為は許さないという画期的な判決でした。

第二幕・根本判決 マンション業者の逆襲。


 劣勢に立たされた業者側は、「高層マンション建築計画が浮上したあとに国立市が発効した高さ20メートル制限の条例は無効である」「国立市の営業妨害活動によって売れ残りなど甚大な損害を蒙った」として、国立市に計4億円の損害賠償を求める新しい訴訟をおこしました。

 この裁判、2005年9月の東京高裁の最終審(根本真裁判長)で、「相当多数の者が大学通りの景観と比べてマンションに違和感を持っことは簡単に想像できるはず。業者側のいささか強引ともいえる営業方針への反発も信用低下に寄与している」と指摘し、「高さを20メートルと定めた市の条例は有効であ る」 と認めたものの、「市側に営業妨害 があった」と国立市の賠償額を4億円から2,500万円に引き下げたかたちの痛み分けで結審しました。

 国立市は2008年3月、2,500万円に金利分を足した3,123万9,726円をマンション業者側に支払いましたが、業者側は「業務活動の正当性を司法で認められることが訴訟の目的であり、賠償金は目的でなかった」として、市の支払った金額と同額の3,123万9,726円を市に寄附(返金)しました。

 永くつづいた訴訟合戦はこれで一件落着……と思われたのですが。

第三幕・川神判決「上原個人に弁償させろ」


 2009年5月、突然4人の住民が国立市を相手に、「市が支払った約3,120万円の賠償金は上原元市長が市長の中立性を守らずにマンション業者の営業を妨害したことから生じたものだから、市は上原元市長個人に約3,120万円に年5分の金利を加えて支払わせろ」という新しい訴訟をおこしました。

 この訴訟を受けた第一審の東京地裁(川神裕裁判長)は、2010年12月、「上原元市長が市議会でマンションを違法建築と答弁したなどにより同社の物件売却に支障が出た」として営業妨害と認定。「市は原告4名の要求通り、約3,120万円にこれまでの金利5分を加えて上原公子に支払わせなさい」と判決しました。

 当時の被告である関口博市長は「賠償金は実質的に返還されている。このうえ、上原さんから徴収したら二重取りになってしまう」と、東京高裁に控訴(第二審)しました。

 しかし、その第二審の判決が出る直前に、自民、公明などの支持を受けて2011年4月に当選した佐藤一夫市長はさっさと関口前市長の控訴をとり下げてしまいました。その結果、第二審は消滅し、第一審の判決が最終判決になってしまいました。ふつう、裁判は第一審から第三審(最終審)まで争うことができるのに、 第二審が争われている途中で被告の佐藤市長はなぜか白旗をふってしまったのです。第二審の判決は第一審の川神判決を否定したかもしれないのに。

納得できない上原公子さんは当然、支払いに応じません。そこで佐藤市長は支払いと仮執行を求めて、上原公子さんを訴えました。またまた新しい裁判 の始まりです。そして、今回の国立市長vs上原公子さんの裁判を担当する裁判官はなんと、「上原公子個人が国立市へ支払え」という第一審の川神判決をつ くったあの川神裕氏ではありませんか。アン・ビリーバブル!

 佐藤市長を当選させた自民、公明その他の議員たちはこんなチラシ(右写真参照)を撒いて、佐藤市長の応援を始めました。汚職や収賄事件ではあるまいし、なんという陰湿で執ような嫌がらせでしょう。